かつて「A BATHING APE®(BAPE®)」でストリートファッション界を支えたNIGO(ニゴー) 。90年代から2000年代初頭にかけて、BAPE®の迷彩柄やエイプヘッドロゴのパーカーやTeeを愛用していた人も多かったはず。そのNIGOがいまではヴィトンやKENZO、ファレル・ウィリアムストとのコラボレーションを展開し、ストリートカルチャーの新しい表現を展開しています。
また、2025年は「25=NIGOの年」と本人も語っており、さらなる多方面での活躍が期待されています。今回はそんな日本のTOPデザイナーとして駆けのぼり中のNIGOの現在の活動と彼がブランドに与えた影響について紹介したいと思います。
BAPE®で起きた伝説とその後
NIGOが1993年に立ち上げた「A BATHING APE®(BAPE®)」は、ストリートブランドの歴史において日本に欠かせない存在です。原宿カルチャーとともに成長し、カモフラージュ柄、エイプヘッドロゴ、シャークパーカー、BAPESTA(バップスタ)といったアイコニックなアイテムが爆発的な人気がありました。
さらに2000年代には、ファレル・ウィリアムスやカニエ・ウェストなどの海外アーティストもBAPE®を愛用し、世界的なブランドへと成長しました。
しかし、2011年にNIGOはBAPE®を香港の企業ITグループに売却し、ブランドの経営から退きます。その後はHUMAN MADE(ヒューマンメイド)を立ち上げ、BAPE®とは異なるレトロなワークウェアテイストのブランドを展開しました。BAPE®の持つポップで派手なストリート感とは異なり、ヴィンテージライクなデザインが特徴となっています。
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KENZOの挑戦—ストリート×ラグジュアリーの融合
2021年、NIGOはLVMH傘下でもあるKENZO(ケンゾー)のアーティスティック・ディレクターに就任しました。創業者である高田賢三の理念を受け継ぎながら、ストリートとラグジュアリーを融合させた新しいKENZOを作り上げています。
NIGOが手掛けるKENZOの特徴は、アーカイブの活用とストリートエッセンスのミックスです。ブランドのDNAであるフローラル柄や虎のモチーフを現代のストリートウェアに落とし込み、「NIGOらしさ」をうまく表現しています。アイテムのシルエットやグラフィックには、BAPE®時代のデザイン哲学が色鮮やかに反映されており、ポップな要素がKENZOの新たな魅力として浮かび上がり、若い世代からも支持されるようになってきました。
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ルイ・ヴィトンとのコラボレーション—ファレルとの最強タッグ
2025年1月、NIGOはルイ・ヴィトンのメンズ クリエイティブ・ディレクターであるファレル・ウィリアムスとともに、2025-26年秋冬メンズコレクションを発表しました。このコレクションには、モノグラムとダミエ(1888年に登場したデザインの一種)の新しいパターン、ロブスターのモチーフのカバン、2000年代のストリートカルチャーを彷彿とさせるヴァーシティジャケットなど、NIGOのストリートデザインが随所に散りばめられています。
NIGOとファレルは2000年代からの盟友であり、2003年にはBILLIONAIRE BOYS CLUB(BBC)やICECREAMを共同で立ち上げています。そんな二人が、ラグジュアリーブランドのトップでまた手を組んだことは、ストリートとラグジュアリーの融合の完成形ともいえるでしょう。
また、2025年2月には、彼らはNOT A HOTEL(所有物件を自宅や別荘、ホテルに切り替えて運用できるサービス) のクリエイティブアドバイザーにも就任しました。 ファッションの枠を超え、ライフスタイルブランドとしての影響力を広げています。
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NIGOのデザイン哲学—ブランドに与えた影響
NIGOが契約してきたブランドやコラボレーションには、彼のユニークな「ポップ×クラシック×ストリート」のエッセンスが色濃く反映されています。
BAPE® → 90年代~2000年代の裏原宿カルチャーを象徴するストリートブランド
HUMAN MADE → ヴィンテージワークウェアと遊び心の融合
KENZO → クラシックなデザインをストリート視点でアップデート
ルイ・ヴィトン→ストリートラグジュアリーの完成形
NIGOが関わることで、これらのブランドは「高級ブランド」「ストリートブランド」ではなく、唯一無二のストリート×ラグジュアリーの世界観を持つブランドへと進化しています。
2025年=「25=NIGOの年」
NIGO自身が「2025年は25(ニゴ)=NIGOの年」と発言しているように、今年は彼にとって大きな意味を持つ年になりそうです。ファッションから枠を飛び出し、ライフスタイルデザインへと幅を広げていくNIGO、今後の彼のプロダクトやアイデアが楽しみですね。