70年前の年賀はがきの景品、第1回はミシンや服地。いま人気の終活年賀状とは。

70年前の年賀はがきの景品、第1回はミシンや服地。いま人気の終活年賀状とは。

いよいよ今年も残り数日。お正月と言えば、年越しそばや初詣など日本にはさまざまな習慣がありますが、年賀状も日本独自の文化です。

 

SNSの普及により年賀状を出す人も年々減っているといいますが、今回はそんな年賀状の始まり、当たって嬉しいお年玉付き年賀はがきの景品の遍歴、また人気となっている終活年賀状についてご紹介したいと思います。

 

 

干支 うさぎ

 

平安時代からはじまった年賀状。庶民に広く伝わったのは明治から。

年賀状の文化は古く、現存する年賀状は平安時代のモノと言われています。平安時代の学者である藤原明衝が作った手紙の例文集の中に新年の挨拶を記した1文があり、それが年賀状の始まりと言われています。

 

突然ですがここで問題です。例文集には以下の文章が記されていたようですが、意味は分かりますか?

 

「春始御悦向貴方先祝申候訖」

 

何となく、春が始まりとても嬉しいですよね とワクワクした気持ちが書かれているように感じますが… 

正解は以下だと言います。

 

「春の始めの御悦び、貴方にむかってまずお祝い申し候」

 

春が始まり嬉しいですね、そんな気持ちをまずはあなた様へお伝えしたいと思います、といったところでしょうかね。年が明け、春に向かう嬉しい気持ちを伝えたのでしょうね。

 

 

 

年賀状としし

 

 

また同時期の平安時代からは「年始回り」と呼ばれる、お世話になった人や親族の家をまわって挨拶をする習慣が始まったと言われています。多くの人が年始回りを行っていたようで、往来する人々で道が混雑していたとか。新年に親戚一同が集まるのも年始回りの文化が影響しているのかもしれませんね。

 

 

年賀状文化が庶民の間にも広く普及したのは明治時代と言われています。明治4年に郵便制度が開始されたのと、明治6年に郵便はがきの発行が始まったことで、一気に普及していきました。それから10年ほど過ぎた明治20年頃には元日の消印を希望する人が多く、郵便局員たちは寝る間を惜しんで作業をしていたそうです。

 

現在のような年末のうちに受け入れて元日に配達するというスタイルになったのは明治32年頃、それまで郵便局員の人達は手にマメが出来るほど毎年苦労していたようです。

 

 

縁起物

 

お年玉付き年賀状の景品、第1回目はミシン。時代と共に変化していった景品

今はすっかり定番となった「お年玉付き年賀はがき」、お正月明けに探すのが楽しみですよね。

 

この「お年玉付き年賀はがき」は昭和24年に発売され、昭和25年のお正月から始まりました。2023年の景品は1等~3等までと品数が少ないですが、第1回の景品は特賞~6等賞まで存在したといいます。

 

気になるその景品とは…。

 

特賞:ミシン

1等:純毛服地

2等:学童用グローブ

3等:学童用こうもり傘

4等:はがき入れ

5等:便箋

6等:切手シート

 

ミシンや服地が景品になるとは、家庭のお財布を握る主婦をターゲットとした景品が選ばれていたんですね。また学童用の手袋や傘なども景品に上がっているところはベビーブームが関係していたようです。

 

ミシン

 

昭和30年代に入ると、特賞も電気洗濯機やタンス、テレビなど高度経済成長期の人気製品が選ばれていたようです。昭和30年後半からはステレオ、8㎜カメラなどのレジャー用品が選ばれ、人々の生活にも余裕がうまれ余暇を楽しむ生活スタイルへと変化していったのが分かりますね。

 

 

しばらく景品はモノの時代が続きますが、平成に入るとモノではなく誰がもらっても嬉しいアレに変わります。

平成29年、インターネットが普及し年賀状がメールへと変化していきました。年賀はがきの売上自体も減少していた影響もあり、誰がもらっても使えて嬉しい景品として「現金」を景品にするというスタイルが考案されます。またそれまでの当選確率も上げようということになり、1/100万→1/10と一気に当選率を上げていったのです。

 

そして現金を景品にするというスタイルは現在も続いており、2023年の景品も1等は現金30万円(もしくは電子マネーギフト31万円分)となっています。誰がもらっても嬉しい現金の景品は、宝くじのような感覚で当たった後の使い道を考え楽しめますね!

 

お年玉付き年賀はがきが発売されて約70年、特賞もミシンや電気洗濯機、カメラなど時代とともに変化してきた景品ですが、最下位の「切手シート」だけはどんなに時代が変わっても変わらない景品として続けられてきています。干支をモチーフにデザインされた記念切手シートも、干支ごとにデザインを見比べてみると少しずつ時代が反映されたものになっているのかもしれませんね。

 

さよなら 黒板

 

「終活年賀状」が人気になっている今。

「終活年賀状」が今年は完売しているといいますが、ご存じでしょうか。

終活年賀状とは、「今回の年賀状をもって年賀状を送るのは終わりにします」と宣言された年賀はがきのことです。

 

近年、メールやSNSで新年の挨拶をする人が増え、年賀はがきの売上は減少の一途をたどっています。年賀状のピーク時であった平成16年には約445千枚まで発行されていた年賀はがきですが、現在では18億枚にまで減少していると言います。

 

終活年賀状をされる方の理由としては

「高齢になってきたから」

「年賀状を書くのが大変だから」

など人によりさまざまですが、はやりインターネットの普及で若い世代にはハガキで送るより絵文字やすぐに反応があるSNSの方が手軽でよいのかもしれませんね。

 

もしかしたらメロンソーダやルーズソックスが2022年には再ブームが来たように、「新年の挨拶はやっぱりハガキ、レトロ感ある芋版が人気」などそんな時代も来るのかもしれません。

 

 

時代が変わり年賀はがきの枚数は減ってきていても、新しい年の始まりを共に喜び祝う気持ちはこの先も続いていってほしい文化ですね。

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