トレンドにも流されず、独自の哲学とデザインで長きに渡り愛され続けているファッションブランド「Dries Van Notenドリス・ヴァン・ノッテン」。彼は2025年春夏のメンズコレクションを最後に、退任することを表明しました。
ドリス・ヴァン・ノッテンの退任は、ファッション業界における一つの大きな転換点となるでしょう。今回はドリス・ヴァン・ノッテンの経歴や功績についてご紹介したいと思います。
■1958年ベルギー生まれ。アントワープの6人として有名に。
ドリス・ヴァン・ノッテンは1958年にベルギーで生まれ、アントワープ王立芸術アカデミーでファッションを学びました。
彼は「アントワープの6人」としても有名です。これは、1980年代にアントワープ王立芸術アカデミーを卒業した6人のデザイナー（アン・ドゥメールメステール、ダーク・ビッケンバーグ、マリナ・イー、ダーク・ヴァン・サーネン、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンクとドリス・ヴァン・ノッテン自身）のグループを指します。
左から2番目がドリス・ヴァン・ノッテン
彼らは1980年代にロンドンでのファッションショーを通じて一躍注目を浴び、その後、各自が独自のブランドを立ち上げると同時に、ベルギーファッションの国際的な評価を高める役割を果たしました。それぞれがユニークなデザイン哲学と、既成のファッショントレンドに囚われない革新的なコレクションを打ち出したことが「アントワープの6人」としていまでも語り継がれている理由です。
実は同時期に同じアントワープ王立芸術アカデミーを卒業しているのが、マルタン・マルジェラです。同じ学校で同時期に現在でも世界的に活躍しているファッションデザイナーが出ているのは、とてもすごいことですよね。
■ファッションブランド：ドリス・ヴァン・ノッテンの魅力とは？
ドリス・ヴァン・ノッテンと言えば、豊かな色彩と独自のプリントデザインで知られています。彼は自然界からインスピレーションを得た色や柄を用いることで、目を惹くコレクションを生み出しています。彼の服は、色彩の美しさとプリントの繊細さが融合しており、視覚的に魅力的です。さらに、エキゾチックな要素とクラシックなスタイルが融合した独自の世界観を持っています。東洋の影響を受けたプリントやシルエットが、西洋の伝統的なテーラリング技術と組み合わさることで、国際的な魅力と普遍的な美しさを放っています。
また、彼のブランドは、独自に開発したテキスタイルや手仕事に大きな価値を置いています。手織りの生地や手刺繍など、職人の技術を駆使したディテールは、ドリス・ヴァン・ノッテンのコレクションの大きな特徴であり、それぞれのアイテムに独特の魅力を加えています。
2015年のコレクションより
また忘れてはならないのがサステナビリティへの取り組みです。庭の手入れをし、自然を愛していたドリスにとってファッションと環境の関係性は無視することが出来なかった要素だったでしょう。彼はファッション業界において持続可能性への取り組みを強化するために、同業のデザイナーやブランドと共に「ファッションパクト」を結成しました。生産過程における環境への影響を最小限に抑えるために努力し、持続可能なファッション産業の発展に貢献しています。
■100回に及ぶファッションショー、ベルギー王室から称号授与
2017年にパリで100回目のファッションショーが開催されました。ドリス・ヴァン・ノッテンというデザイナーのキャリアを象徴する記念碑的なイベントとなり、このショーでは、過去のアーカイブからインスピレーションを得たデザインが披露され、彼の長いキャリアとファッションへの貢献を祝いました。
当時のサイトでは過去のファッションショーをアーカイブとして紹介していたとのエピソードも残っています。継続は力なりと言いますが、100回の開催を行うには財力も人気もアイデア力も必要ですので、すごいことですね。
またドリス・ヴァン・ノッテンは2015年にベルギー王室から「バロン」の称号を授与されました。この栄誉は、彼のファッション業界での長年にわたる功績と、ベルギー文化への貢献を認められたものです。ベルギーのファッションデザイナーとして国際的に認知され、その創造性と独自性で世界中から賞賛を受けている彼にとって、この称号はその業績を称える重要なマークとなったでしょう。
WWDではドリス・ヴァン・ノッテンからの引退に寄せたメッセージも公開されています。
(記事はコチラから)ファンのみならず関わってくれた全ての人達へ向けた丁寧な感謝の言葉が述べられており、その人柄もブランドが長年愛され続けてきた証拠であると分かります。
世界中の店舗毎に特色が異なる
仲間と共に大きな挑戦をし、ベルギーファッションの地位を高め、長年に渡り愛され続けているドリス・ヴァン・ノッテン。これからのブランドとして自然への貢献も忘れず進化し続けるファッションブランドでデザイナーが変わることは大きな変化になりますが、これからも私たちを楽しませてくれることは間違いないでしょう。今後、どのように発展し続けるのか楽しみですね！
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